勤怠の時間を正しく計算する方法!労働時間との違いや効率的な管理法も紹介
勤怠時間の計算は簡単そうに見えて、難しいと感じる人も多いでしょう。労働時間との違いから計算方法まで、さまざまな点を考慮する必要があります。
本記事では、勤怠の計算方法や実践的な知識を分かりやすく解説しています。記事内で紹介する計算ツールの使用により、効率的な勤怠管理が可能です。
この記事を読めば、法律を守りながら従業員が働きやすい環境の整備ができます。勤怠管理の理解を深め、より円滑な職場の運営に役立ててください。
勤怠時間とは
勤怠時間とは出勤から退勤までの時間のことで、残業や休憩時間も含みます。給与計算や労働時間の管理に必要なデータです。勤務表やタイムカードで記録します。
企業は次の点を遵守するため、正確な勤怠時間の把握と管理が求められます。
- 健全な労働環境の提供
- 適正な給与計算
- 労働基準法に沿った経営
- 正確な人事管理
- 経営の効率化
勤怠時間と労働時間の違い
勤怠時間とは、出社してから退社するまでの総時間です。給与計算や勤務実績の記録に使われます。
一方、労働時間は勤怠時間から休憩時間を除いた時間です。労働基準法に基づいた管理や残業時間の計算に使います。
正確な時間管理を行えば、法律を守りながら従業員の労働環境を改善できます。
勤怠時間の計算に含まれる内容
勤怠時間の計算で考慮すべき項目は、次のとおりです。
- 出勤から退勤までの時間
- 所定労働時間
- 残業時間
- 22時以降の深夜労働時間
- 法定休日の労働時間
労働時間を計算する場合、次の項目は勤怠の時間から除外してください。
- 休憩した時間
- 病気や怪我により欠勤した時間
有給休暇は、勤怠時間に含める場合もあります。遅刻や早退の場合は、減った労働時間を勤怠時間から差し引きます。
» 医師の有給休暇の取得と課題
勤怠時間の計算方法
勤怠時間の算出には、働いた時間の正確な把握が必要です。ここでは、勤怠時間の計算方法を詳しく解説します。
» 勤怠報告を簡単に!勤怠管理システムの選択方法
勤務開始から終了までの計算
基本的な勤怠時間は、勤務開始から終了までの時間を元に算出されます。
退勤時刻-出勤時刻=勤怠時間
効率的かつ正確に計算するため、自動で計算する勤怠管理システムの導入がおすすめです。計算ミスを防ぎ、勤怠管理業務の手間を大幅に軽減できます。
休憩時間の取り扱いと計算
法定休憩時間は勤怠時間に含まれる一方で、労働時間には含まれません。具体的な法定休憩時間は、以下のとおりです。
- 6時間以上の勤務には45分以上
- 8時間以上の勤務には1時間以上
労働時間を計算する際は、休憩時間の取り扱いにおいて次の点を考慮してください。
- 法定時間を超えた休憩は別途差し引く
- 2回以上の休憩は個別に計算する
- 休憩が取れなかった場合のルールを設ける
休憩時間の正確な計算は、公正な労働環境のため非常に重要です。
» 夜勤の休憩時間を確保する方法
深夜労働や残業時間の計算
深夜労働とは、22時から翌朝5時までの労働を指します。通常の時給に25%の深夜割増が必要です。
一方、残業時間とは所定労働時間を超えた勤務時間を言います。法定労働時間を超えると25%または50%の割増が必要です。勤怠記録から所定労働時間を超える部分を残業時間として考え、割増をして給与の計算を行います。
とくに注意すべきは、深夜と残業が重なる深夜残業の場合です。深夜労働と残業の両方の割増が適用されるため、重複する部分を正確に特定し、適切な割増率を用いる必要があります。
変形労働時間制の計算
変形労働時間制の特徴は、一定期間の労働時間を平均して計算することです。1日の勤務時間が一定でないため、通常の勤務とは計算方法が異なります。具体的な計算方法は次のとおりです。
- 1か月や1年などの期間を設定する
- 期間内の総所定労働時間を算出する
- 実際の勤務時間を記録する
- 所定労働時間と比較して差異を計算する
- 時間外労働の有無をチェックする
所定労働時間を超えていた場合は時間外手当が発生し、不足していれば次の期間に繰り越すことが可能です。法定休日や法定外休日の労働時間、休憩時間の取り扱いも重要なポイントです。
フレックスタイム制の計算
フレックスタイム制は、自由に働く時間を選べる制度です。基本的な勤務時間の枠組みを自分の生活リズムに合わせて設定できます。計算時には「基本時間」と「コアタイム」を会社から確認する必要があります。
コアタイムとは、社員が必ず出勤する必要のある時間帯です。出勤や退勤の時間も自由に決められます。フレックスタイム制の勤怠時間は、次の手順で計算できます。
- コアタイム内の勤務時間を合計する
- コアタイム以外の勤務時間を加える
- 月末に1か月分の総勤怠時間を集計する
フレックスタイム制の給与については、次の手順で計算してください。
- コアタイム内の勤務時間を合計する
- コアタイム以外の勤務時間を加える
- 休憩時間を差し引く
- 月末に1か月分の総労働時間を集計する
- 所定の労働時間を満たすか確認する
- 繰越分を考慮し残業手当の加算をする
フレックスタイム制の勤怠計算は労働契約や就業規則に基づくため、社内規定の理解が必要です。
勤怠時間の計算に便利なツール
勤怠時間の計算に便利なツールを使えば、簡単かつ正確に勤怠の計算と管理ができます。具体的なツールは、以下のとおりです。
- 電卓
- Excel
- 勤怠管理システム
残業時間を自動で計算するものや、フレックスタイム制への対応が可能なものなど、高度な機能を持つツールの利用もおすすめです。手間を大幅に削減し、生産性の高い業務に集中しましょう。
電卓
電卓は基本的な使い方を覚えるだけで、簡単に正確な時間の計算ができます。足し算、引き算、掛け算、割り算の基礎的な四則演算のほか、次のような便利機能も備わっています。
- 途中結果をメモできる機能
- 小数点やパーセンテージ計算の専用キー
- 時間単位への変換機能
計算ミスを防ぐため、以下の点には注意してください。
- 入力した数値や計算結果を必ず確認する
- エラーがないか確認する
- 小数点以下を適切な桁数におさえる
作業時間の効率化も心がけましょう。ショートカットキーや計算式のメモリ登録が便利です。
Excel
勤怠時間の管理にExcelを使うメリットは、次のとおりです。
- フォーマットや関数で自動計算できる
- 休憩や残業時間の算出も簡単にできる
- 深夜労働や休日出勤などにも対応できる
- 自由なカスタマイズで、数式入力や表・グラフの作成など柔軟な対応できる
- 従業員の勤務情報を一覧で把握できる
Excelなら必要に応じたカスタマイズで、使い勝手の良い管理シートを作れます。勤怠管理に割く時間を大幅に削減できるため、ほかの業務に集中したい方にもおすすめです。
勤怠管理システム
勤怠管理システムは、社員の出退勤の時間を正確に記録し、働いた時間を計算する専用ツールです。
- 出勤・退勤時刻の記録
- 休憩、残業時間含む労働時間の計算
- 深夜労働や休日出勤の割増賃金の計算
フレックスタイム制や変形労働時間制を導入する企業にとって、勤怠管理システムは非常に便利なツールです。専用システムには次のようなメリットがあります。
- 複雑な計算や集計を簡単・迅速にできる
- 人的ミスを減らせる
- 時間の節約につながる
勤怠管理システムを導入すれば、社員の労働時間を正確に把握し、適切な賃金計算や労務管理が可能です。労務管理において重要なツールと言えます。
» おすすめの病院向け勤怠管理システム
勤怠時間の計算に関するよくある質問
ここでは、勤怠の計算でよくある質問と回答を紹介します。
休日出勤の勤怠時間はどう計算する?
休日出勤の勤怠時間は、次の式で計算してください。
退勤時刻-出勤時刻=勤怠時間
休日出勤分の給与は、以下の手順で計算できます。
- 休日出勤の実勤務時間を計算する
- 休憩時間を除外する
- 通常賃金の1.35倍を割増する
勤怠管理システムなら、割増賃金を含む勤務時間が自動計算されます。変形労働時間制やフレックスタイム制を採用している場合は社内規定を確認し、適切に対応してください。
» 病院向け勤怠管理システムとは?メリットと選び方
遅刻や早退の勤怠時間計算は?
遅刻や早退した場合も、以下の式で勤怠時間が計算できます。
退勤時刻-出勤時刻=勤怠時間
労働時間については、次の手順で計算しましょう。
- 出勤から退勤までの実働時間を算出
- 遅刻の場合は予定開始時間と実際の出社時間の差を実働時間から差し引く
- 早退の場合は予定終了時間と実際の退社時間の差を実働時間から差し引く
社内規定に基づく減給やペナルティがあれば対応してください。以下の場合でも個別に計算方法を確認しましょう。
- 遅刻や早退が休憩時間と重なった場合
- 特定の理由で勤怠時間に含まれない場合
遅刻・早退時における勤怠計算の方法は会社ごとに異なります。就業規則等を確認し、正しく理解してください。正確な実働時間を把握するため、自動の計算機能が備わった勤怠システムやタイムカードの活用がおすすめです。
» タイムカードがない病院の問題点
まとめ
従業員の適正な労働管理のため、勤怠の計算は正確に行う必要があります。次の点に留意してください。
- 勤怠時間は出勤から退勤までの時間
- 労働時間は勤怠時間から休憩を除く時間
- 深夜労働や残業は必ず加算
勤怠の時間管理では正確性と効率が求められるため、以下のような計算ツールを積極的に利用しましょう。
- 電卓
- Excel
- 勤怠管理システム
休日出勤や遅刻・早退の場合は、通常と計算方法が異なります。従業員の権利と企業の基盤を支えるため、勤怠計算は正確に行いましょう。
» 看護管理システムとは?機能と導入メリットを解説