未分類

タイムカードの保管期間が5年に変更!基本ルールと保管方法を解説

タイムカードには5年間の保管義務があることを知らない人は多いです。タイムカードの保管期間について把握していないと、法律違反や労働トラブルになる恐れがあります。本記事ではタイムカードの適切な保管期間と、具体的な保管方法について解説します。

記事を読んでタイムカードの保管に関する知識を学び、効率的にタイムカードを管理しましょう。

タイムカードの保管期間が重要な理由

タイムカードの保管期間が重要な理由として、次の3つを押さえましょう。

  • 労働基準法による保管義務がある
  • 労働時間や賃金に関するトラブルを避ける
  • 労働基準監督署の調査時に必要となる

労働基準法による保管義務がある

タイムカードの保管は労働基準法第109条で定められた義務です。タイムカードの他にも、労働者名簿や賃金台帳などの重要な書類を保存しなければなりません。タイムカードの保存期間は5年間です。期間内にタイムカードを破棄したり紛失したりすると、30万円以下の罰金が科される場合があります。

タイムカードを保管する理由は主に以下の3つです。

  • 労働時間を管理するため
  • 割増賃金の計算するため
  • 調査や労働争議の証拠になるため

タイムカードは労働時間の管理や割増賃金の計算だけでなく、労働環境の調査や労働争議の際の証拠としても使用されます。保管義務を守り、適切にタイムカードを保管しましょう。
» 勤怠の時間を正しく計算する方法!

労働時間や賃金に関するトラブルを避ける

労働時間や賃金に関するトラブルを避ける

タイムカードを適切に保管することで、労働時間や賃金に関するトラブルを避けられます。主なトラブルは以下のとおりです。

  • 残業代の未払い
  • 不当解雇
  • 労使間の認識の相違
  • 給料の計算ミス

正確な労働時間の記録を保持していれば、残業代の未払い請求や不当解雇などの問題に対処できます。労使間の認識の相違も起こりません。従業員との賃金トラブルや給料の計算ミスも未然に防げます。労働条件の改善に役立つデータを得られるので、従業員の労働意識の向上にもつながります。

タイムカードの保管は法令遵守の証拠としても重要です。適切に管理し、健全な労使関係を維持してください。
» タイムカードを押し忘れを防ぐ勤務管理方法

労働基準監督署の調査時に必要となる

労働基準監督署の調査が行われた際、タイムカードの提出が求められます。労働時間や賃金に関する記録を確認するためです。労働基準監督署は、タイムカードで以下の項目を確認します。

  • 残業代
  • 労働時間
  • 36協定の遵守
  • 法定労働時間の遵守
  • 休憩時間

労働条件通知書や就業規則との整合性をチェックする際も、タイムカードを使用することが多いです。労働災害が発生した場合には、労働時間の実態調査にも活用されます。従業員からの申告や告発があった際の、事実確認の材料にも使用されます。深夜労働や休日労働の実態把握にも役立つことが多いです。
» 15分単位の勤怠管理によって生じる問題

タイムカードの保管期間

タイムカードの保管期間について、次の2つを知っておきましょう。

  • 基本の保管期間は5年
  • 賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねる場合は7年

基本の保管期間は5年

タイムカードの基本的な保管期間は5年です。保管期間は労働基準法で定められており、賃金や労働時間に関する書類の保存期間として規定されています。タイムカードの他に、出勤簿や賃金台帳も5年間保管しなければなりません。紙だけでなく、電子化した書類も同様に5年間保存する義務があります。

5年が経過した後は廃棄できますが、長期保存した方が良い場合もあります。廃棄する際は注意してください。タイムカードの保管は、主に労働時間や賃金に関するトラブルを防ぐのに役立ちます。労働基準監督署の調査時にも必要となるので、適切に保管しておきましょう。

賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねる場合は7年

賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねる場合、タイムカードの保管期間は7年です。源泉徴収簿の法定保存期間に合わせるため、通常より2年長くなります。源泉徴収簿は税務上の重要書類です。国税関係帳簿として7年間の保存が義務づけられています。タイムカードの保管が7年になるケースは、以下のとおりです。

  • 賃金台帳と源泉徴収簿が一体化している
  • 源泉徴収情報が記載されている
  • 源泉徴収簿を代替で使用している

企業は法令を遵守し、適切にタイムカードを保管してください。

タイムカードの保管期間の起算日

起算日とは、特定の期間を数えはじめる1日目を指します。タイムカードの保管期間の起算日について、次の3つを理解しておきましょう。

  • 基本は給与支給日
  • 派遣社員は派遣契約終了日
  • 特殊なケースの起算日

基本は給与支給日

タイムカードの保管期間の起算日は、給与支給日が基本です。労働基準法に基づいて定められており、月給制の場合は毎月の給与支給日が起算日となります。日給制や週給制の従業員についても、各給与支給日が起算日です。賞与や退職金も同様に、支給日が起算日となることを覚えておきましょう。

給与の遅延払いがある場合は、実際に支給された日が起算日になるのが一般的です。給与の前払いがあった場合は、本来予定されていた支給日が起算日になります。基本的には給与支給日が起算日だと理解し、適切にタイムカードを保管してください。

派遣社員は派遣契約終了日

派遣社員は派遣契約終了日

派遣社員の場合、タイムカードの保管期間の起算日は派遣契約終了日です。派遣契約が終了した時点から、タイムカードの保管期間がスタートします。通常の社員と起算日が異なるため、注意が必要です。保管の責任は派遣先ではなく、派遣元が負います。複数の派遣先で勤務した場合の起算日も同じです。

契約更新や延長があった際は、最終的な契約終了日が基準となります。派遣元は派遣先からタイムカードのコピーを確実に受け取らなければなりません。複数の派遣先での勤務記録を一元管理することも重要です。派遣社員のタイムカード保管には、特有の注意点があるとよく覚えておきましょう。

特殊なケースの起算日

タイムカードの保管期間の起算日には、特殊なケースが複数あります。通常の起算日とは異なるため、注意が必要です。特殊なケースは以下のとおりです。

  • 退職者
  • 解雇された従業員
  • 有期雇用契約
  • 育児・介護休業
  • 長期休職
  • 季節労働者
  • 出向社員
  • 試用期間中の従業員
  • 法人の合併・分割
  • 事業譲渡

退職者の場合は退職日から起算します。解雇された従業員については解雇日が起点です。有期雇用契約の従業員に関しては、契約終了日から保存期間が始まります。育児・介護休業を取得した従業員の起算日は休業終了日です。長期休職者については、職場に復帰した復職日から起算します。

季節労働者のような一時的な雇用の場合は、雇用期間が終了した日が起算日です。出向社員については、出向が終了してもとの会社に戻った日、または完全に転籍した日から起算します。試用期間中の従業員が本採用となった場合は、本採用日が起算日です。

法人が合併または分割した際は、合併・分割が行われた日が起算日となります。事業譲渡が行われた場合は、譲渡が完了した日から保存期間を数えます。特殊なケースにおけるタイムカードの管理は複雑になりがちです。正確に起算日を把握し、適切に保管してください

タイムカードの保管期間を守らなかった場合のリスク

タイムカードの保管期間を守らなかった場合のリスク

タイムカードの保管期間を守らないと、企業はさまざまなリスクに直面します。主なリスクは次の2つです。

  • 保存義務違反による罰則がある
  • 企業の社会的信用が低下する

保存義務違反による罰則がある

タイムカードの保管期間を守らないと、保存義務違反に該当します。罰則を受ける可能性があることを覚えておきましょう。労働基準法違反として、30万円以下の罰金が科される場合があります。法人の場合は両罰規定により、会社にも罰金刑が課されるので注意が必要です。

労働基準監督署から是正勧告や指導を受ける場合があり、悪質な場合は刑事罰の対象になります。タイムカードを保管していないと、労働基準監督署の立ち入り調査時に不利になることが多いです。労働時間や賃金に関するトラブルが発生した場合、タイムカードは重要な証拠となります。

タイムカードがないと企業側の主張を裏づけられません。各種助成金の申請の際にタイムカードの提出を求められることもあります。保管していないと助成金を受け取れないので、気をつけてください。

企業の社会的信用が低下する

タイムカードの保管期間を守らないと企業の評判が傷つき、社会的信用が低下するリスクがあります。考えられるケースは以下のとおりです。

  • 法令違反が明るみに出る
  • コンプライアンス意識の低さが露呈する
  • メディアやSNSで批判される

労働関連の法令違反が明るみに出たり、コンプライアンス意識の低さが露呈したりすることは信用問題に関わります。メディアやSNSで批判され、取引先や顧客からの信頼を失うケースも多いです。人材採用に悪影響を及ぼし、企業の存続にも関わる深刻な事態に発展する可能性もあります。

企業が社会的信頼を失うことで起こりうる事態は、次のとおりです。

  • 株価や企業価値の低下
  • 労働組合や従業員との関係悪化
  • 行政処分や罰金

1度失った信頼を取り戻すのは困難です。企業イメージの回復には多大な時間と費用がかかります。企業の社会的信用を守るためにも、タイムカードの保管期間を守ることは重要です。

タイムカードを適切に整理・保管するメリット

タイムカードを適切に整理・保管するメリット

タイムカードの適切な整理・保管には多くのメリットがあります。主なメリットは次の3つです。

  • リスクを回避できる
  • 立ち入り調査にすぐ対応できる
  • 助成金などの申請時に役立つ

リスクを回避できる

タイムカードを適切に整理・保管すると、さまざまなリスクを回避できます。回避できるリスクは以下のとおりです。

  • 労働基準法違反のリスク
  • 労働時間や賃金に関するトラブルのリスク
  • 労働基準監督署の立ち入り調査のリスク

タイムカードの適切な保管で、労働基準法違反のリスクを回避できます。法定の5年間または7年間の保管を遵守し、罰金や是正勧告などの罰則を避けましょう。労働時間や賃金に関するトラブルが発生した際、タイムカードは証拠として活用可能です。正確な労働記録を提示することで、企業の立場を強固にできます。

労働基準監督署の立ち入り調査が行われた際は、タイムカードの提示で不必要な疑念を晴らせます。タイムカードの適切な記録管理は、労務管理の透明性を高め、従業員との信頼関係を構築するのに不可欠です。不正や過剰労働の防止、労働関連の訴訟リスクも軽減できます。

立ち入り調査にすぐ対応できる

立ち入り調査にすぐ対応できる

タイムカードを適切に保管していれば、労働基準監督署からの調査に迅速な対応が可能です。タイムカードをすぐに提示できないと、不要な疑念を与えて調査が難航する恐れがあります。タイムカードがあることで、具体的に以下のような対応が可能です。

  • 必要情報を即提示できる
  • 質問へスムーズに回答できる
  • 労働時間・賃金記録を確認できる

調査官が必要とする情報をすぐに提示できるため、調査がスムーズになります。手元にタイムカードがあれば、従業員の労働時間や賃金記録を即座に確認でき、調査官の質問に的確な回答が可能です。調査時間の短縮につながり、企業活動への影響を最小限に抑えられます。

適切な記録管理を行っていることは、調査官にとって好印象です。企業のコンプライアンス遵守の姿勢を明確に示せるため、企業の信頼性向上につながります。労働基準監督署の調査に備え、日頃から正確な記録を保管しておきましょう。

助成金などの申請時に役立つ

タイムカードを保管していると、助成金の申請時に役立ちます。従業員の勤務実態を証明する資料として、タイムカードの提出を求めるケースが多いからです。タイムカードの提出を求められるケースとして、次の2つが挙げられます。

  • 雇用調整助成金の申請時
  • 各種助成金の実績報告時

雇用調整助成金を申請するには、従業員の勤務実態を示す書類を提出しなければなりません。タイムカードを保管していると申請がスムーズに行えます。各種助成金の実績報告時にも、タイムカードは重要な役割を果たします。従業員の労働時間や有給休暇の取得状況を、正確に把握できるからです。

タイムカードは企業の労務管理の適正性を示す重要な資料です。適切に保管し、助成金申請時に信頼性の高い資料として活用してください。

タイムカードの保管の手間をなくす方法

タイムカードの保管の手間をなくす方法

タイムカードの保管はかなりの手間です。保管の手間をなくす方法として、次の2つを紹介します。

  • スキャン後に電子保存する
  • 勤怠管理システムを導入する

スキャン後に電子保存する

タイムカードはスキャンした後に電子保存するだけで、管理が楽になります。紙のタイムカードをスキャナーで電子化し、PDFやJPEGなどのデジタル形式で保存しましょう。電子保存のメリットは次のとおりです。

  • 保管スペースの節約になる
  • 検索が容易になる
  • バックアップが簡単にできる

電子保存する際は、クラウドストレージやサーバーへ適切に保管してください。ファイル名はわかりやすいものにし、保存場所も明確にしておきましょう。セキュリティ対策も必須です。検索しやすいように日付やカテゴリでフォルダ分けをすると便利です。電子署名やタイムスタンプを付与すれば、改ざんを防止できます。

法令に準拠した保存方法を確認することが重要です。データは定期的に整理し、不要ファイルは削除しましょう。

勤怠管理システムを導入する

勤怠管理システムを導入する

勤怠管理システムを導入すると、タイムカードの保管にまつわる多くの問題は解決します。勤怠管理システムとは、従業員の勤務時間をデジタルで記録して自動保存する仕組みです。主な特徴は以下のとおりです。

  • 勤怠データをデジタル化できる
  • 打刻ミス防止機能がある
  • 勤怠状況をリアルタイムで把握できる
  • 給与計算や有給管理もできる
  • クラウドで操作できる

勤怠管理システムを使えば、紙のタイムカードを保管する必要がありません。データはクラウド上に保存されるため、紛失や破損の心配も不要です。保管期間を知らせる機能もあり、法令遵守をサポートしてくれます。必要時にすぐデータを取り出せるので、労働基準監督署の調査にも迅速に対応できます。

スマートフォンやタブレットからの打刻にも対応しており、テレワークが多い現代の働き方にも最適です。セキュリティ対策も充実しているため、安全に使用できます。サブスクリプション型のサービスを選択すれば、導入コストを最小限に抑えられます。

勤怠管理システムは、タイムカードの保管に関する悩みを解決する強力なツールです。企業規模に関わらず、導入を検討してみてください。
» タイムカードによる勤怠管理の課題

システム導入時の補助金制度

勤怠管理システムの導入には、補助金が出る場合があります。補助金制度を活用すれば導入コストを最小限に抑えられます。中小企業向けの補助金制度も多くあるので、検討しましょう。代表的な補助金制度は以下のとおりです。

  • IT導入補助金
  • 業務改善助成金
  • 中小企業生産性革命推進事業
  • ものづくり・商業・サービス補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

補助金制度は、企業の生産性向上や業務効率化を支援する目的で設けられています。補助金の申請には条件や期限があるため、早めに情報収集しておきましょう。専門家のアドバイスを受ければ、自社に適した補助金制度を選べます

まとめ

まとめ

タイムカードの適切な保管は企業の重要な義務です。労働基準法で定められた期間を守り、正しく管理しなければなりません。タイムカードを保管することで、労働トラブルを回避でき、労働基準監督署の調査時には迅速な対応ができます。タイムカードは電子保存や、勤怠管理システムの導入による管理がおすすめです。

以上を参考に、効率的にタイムカードの管理を行ってください。
» 勤怠とは?正しい意味や具体的な管理項目