ダイキン工業株式会社殿事例
ダイキン工業株式会社様の情報システムを担当されているダイキン情報システム株式会社の開発4部長松尾裕様、田中正一様に、弊社のHyperTreeを導入された目的や効果についてお話を伺いました。(開発4部は、物流や販売実績など空調事業の中核に関わるシステム開発担当部門です。)
概要
ダイキン工業様は、2006年、連結業績で12期連続の営業増益・経常増益を実現するなど、「世界的企業」「真の一流企業」への発展を目指して、類まれな成果を上げています。2004年に日本インターシステムズの特許技術であるHyperTreeを販売実績管理システムに組み入れ、従来1日かかっていた処理時間を大幅に短縮、販売日次速報の早朝提供を実現されました。
今後は、HyperTreeの高速性を生かしたシミュレーションなどを実現し、ダイキン工業様のグローバル戦略を強力に支援していくことを期待されています。
HyperTree導入目的
- 汎用機で1日掛かっていた月次処理を短縮し毎朝出力を可能とすること。
- 現行は夜間バッチ処理をメインフレーム系にて運営している。これを順次オープン系のシステムに移行していくこと。
HyperTree適用の特徴
- 目的構造へ一気に構造変換することにより現行処理ステップを削減。
- HyperTreeを用いてすべてのマスタ参照を行うことで高速処理を実現。
- HyperTreeの適用によってデータの正規化を推進。
- 基幹システムからオープン環境への移行。
効 果
定量効果
- 処理時間短縮
- 処理ステップ減少による保守コスト削減
- 日次処理化による業績計数の正確性向上
- 計画対実績差異の迅速な把握と早期対策
課題・目的
<熾烈な販売商戦を勝ち抜くキーワードは販売実績システム>
「ダイキン工業様の空調事業については、国内業務エアコン、国内家庭用ルームエアコンともにトップシェアを獲得しています。しかしながら、エアコンの市場は既に飽和状態であり、いかに新規を増やすか、でなくいかに生き残るかという熾烈な販売商戦に突入しています。」
「販売戦略は日々の販売実績を土台に設定していますが、もはや日単位で実績を把握すればよいレベルでは無く、リアルタイムで実態を把握し、すぐに有効な対策を採るといった態勢ができるかどうかが勝敗を決することになります。」
<長時間のバッチ処理が課題>
「ところが、販売実績管理システムの中の原価再計算処理については、細かな価格設定や販売台数による割引制度など複雑な価格政策があり、販売会社の仕入原価を正確に把握するためには長時間のバッチ処理が必要でした。この原価再計算処理をオープン環境へ移行し、汎用機で1日掛かっていた1か月分の処理も高速サーバの活用によりピーク期間でも半日程度まで短縮できるよう改善しました。しかし、ピーク期間にこそ、より早い情報提供が必要とされるので、もっと時間を短縮できる対策を探していました。」
課題・目的
<常識を超えていた日本インターシステムズ社の提案>
「2003年6月に日本インターシステムズ社からの提案を聞きましたが、それは我々の考えを大きく超えた高速処理の話でした。また、システム構造も従来とは大きく異なるので、汎用機に慣れた我々は適用リスクが高いと感じました。しかし、日本インターシステムズ社は意欲的で、真剣に提案していただいたので、プロトタイプを作っていただくことにしました」
「実際のプロトタイプは、原価計算の複雑なロジックの整理作業も乗り越えて、短期間であっても正確な数値を出してくれたので非常に驚きました。」
システム概要
「 伝送受信した当日分売上明細を、当月分累積データに累積、販売会社取引状況やマスタ更新に合わせて、毎日、原価の洗換をし、DWH用にも編集出力します。
既にDWHを運用していたサーバにHyperTreeエンジンを搭載し、原価再計算処理部分を切り出しました。(汎用機で稼動していた部分もその後ストレートコンバージョンでUNIX機へ移植されました)
導入効果
また、複雑に多段階ステップで構成されていた処理のスリム化は、処理の高速化実現に貢献しただけでなく、システム改定時の変更箇所が少なく、影響調査を行うことも容易になるといった保守性への効果ももたらしています。
導入の効果について、松尾様、田中様は次のように評価します。
<不安を感じるほど処理が超高速でした>
「当初は、あまりにも高速だったので一抹の不安を持っていましたが、今では、ピーク期間でも、早朝には正確な販売実績を提供できていますので、安心しています。」
現行は夜間バッチ処理をメインフレーム系にて運営している。これを順次オープン系のシステムに「導入から今までトラブルなく稼動しており、安定したシステムだと思います。」
<超高速処理により販売日次速報の早朝提供を実現>
「従来1日かかっていた処理時間を大幅に短縮して販売日次速報の早朝提供を実現しましたので、ユーザの事業部門からも『以前からの要望が実現した』と評価されました。」
「HyperTreeを使うと経営に必要な数値がタイムリに正確に出ますから、いまのところ数値化はできませんが、計り知れない効果ですね。」
今後の展開とHyperTreeへの期待
<ダイキン工業様の今後の展開>
「一つ目は、グローバルの視点でSCMを中心に基幹系業務の拡張性を高めていきたいと思っています。二つ目は、ワークフローのノウハウを導入して、メーカとして開発プロセスを整流化したいと考えています。そして、三つ目は、経営的な観点で、見える化を進めたいと思っています。具体的には、『製品販売数量を機種別・地域別・販売会社別に把握する』というように、経営に役立つ情報を立体的な見方ができるよう情報システムを構築したいと考えています。それには、色々なルールや名称の統合が必要でしょう。難しいと思いますが、しかし、それができないとグローバルな日次決算が実現できません。」
「HyperTreeのように設計思想が変われば、情報の統合的な仕組みができるかもしれない、と期待しています。」
シミュレーションや仮説検証
「部品展開や取引速報のほか、簡単にパラメータを変えながら大量のデータを処理するところに適用して、シミュレーションや仮説検証ができたら、と思っています。」
「例えば、トラックの積荷シミュレーション、配送拠点のルート最適化計画、特定製品の売価アップによる貢献利益のシミュレーションなどですが、シミュレーションは早さが勝負なのでHyperTreeには向いていると思います。」
ダイキン工業様は以上のようにHyperTreeに対して大きな期待を寄せられています。